セルフディスカバリー・アドベンチャー【4】

6月 3rd, 2010

<<その3はコチラ
 
 
ついにニューバイクをポチってしまった私は、念のためにポチった後に
 
「ハーイ、ベラチさん、ポチったんでレースに間に合うよう送ってね、
前ブレーキは右、後ろブレーキは左で組んでね。よろしく」

 
とメールを送ったら
 
15分後
 
「ありがとう、来週送るからレース数日前には届くと思うよ。発送が
 済んだら荷物のトラッキングコードを送るよ、じゃあね!」

 
と返事が来た。
 
 
ホントは東区にショップがあるんじゃねぇのか?(爆)
 
 
期待しつつ、
 
一週間が過ぎた。
 
 
 
 
発送の連絡が無い。
 
 
 
2010年5月14日(金曜日)
 
あまり催促するのもなぁ〜と思っていたが、日本人なので理解して
もらえるだろう(?)と思ってメールを出した
 
「ハーイ!ベラチさん、俺のバイクの発送はまだかい?」
 
1時間後に返事が来た
 
「今日メーカーを発送されたので来週頭にショップに届くからスグ送るよ!」
 
 
来週って…王滝2週間前を切ってるし…
 
 
話が違う…話が違うよベラチさん…
 
  
またウジウジと考えてばかりの自分に気づく。
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
2010年5月20日(金曜日)
 
メールが来た
 
「今日発送したよ、トラッキングコードは*************」
 
 
よぉっしゃぁ!
 
 
いやマテ、王滝まで10日しかないぞ。
 
 
過去の経験から最速でも9日間くらいかかるのだが…
 
 
 
 
運を天に…いや、運送会社と税関職員に任せて待つしかない。
  
 
 
私はSWISS POSTのサイトを開いてトラッキングコードを打ち込んで
荷物の状況を確認した。
 
 
 
 
image
 
 
「NOT FOUND」
 
 
 
まだ番号が反映されていないのか?
 
 
24時間以上経過したので、もう大丈夫かと思い再び番号を打ち込む
 
 
 
image
 
「NOT FOUND」
 
 
 
本当に送ったのか?
 
私があまりに催促メールを出すので「そば屋の出前返事」をしたのでは
ないのか?
 
 
私は不安になってメールを送った
 
「ハーイ、ベラチさん、この前教えてもらった追跡番号だけど、24時間経っても
 反映されないんだ、確認してくれる?」

 
 
 
1時間後に返事が来た…
 
 
 
 
緊張しつつメールを開く…
 
 
 
「本当にごめん、教えた追跡番号間違えてた、正しい番号は…」
  
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
その番号を打ち込むと、めでたく荷物の状況が表示された。
 
 
いつもは「Best regards」で締めるベラチ氏も、
この時は「Your sincerely」だった(笑)
 
 
どうやらイイ人みたいだ(笑)
  
  
 
2010年5月24日(月曜日)
 
 
いよいよ王滝の週となってしまった。
 
私の荷物は21日にチューリヒを飛び立ったっきりだ(笑)
 
ステータスが進まない。
 
 
これはいよいよヤバい、間に合わない場合はアンカーで行くしか無い。
 
 
 
2010年5月25日(火曜日)
 
早朝に大阪の税関を通過したようだが、それ以上は進まない…
 
 
 
 
2010年5月26日(水曜日)
 
王滝出発2日前、早朝に福岡税関に入って通関待ちになっていた。
 
まずい、このままでは27日とか28日の配達になってしまう。
いくらなんでもそれはギリギリすぎる。
 
 
私は意を決して、郵便局の新福岡支店に電話で状況を問い合わせた。
 
急いでいることを告げると、親切な職員さんは調べてわざわざコールバック
してくれた。
 
答えは「すでに通関が終わっているが、配達はトラック便の都合で27日に
なってしまう」
…と。
 
時間はまだお昼の1時、私は思わず口走った
 
「そちらに引き取りに言って良いですか?」
 
職員さんは答えた「そちらの方が早いでしょうね」

「じゃぁ、引き取りに伺いますので止めておいてください」

 
電話を切ってから、考えた。
 
 
自転車の入った箱を運ぶ手段がない(爆)
 
 
お世話になっている知り合いのバイク屋さんの社長に
お願いして、トランポを借りることができた。
 
 
意外と行動力あるやん、俺(笑)
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 

 
すぐにトランポを借りに行って、新福岡支店へ到着。
 
 
imgp3816
手続きを終えて荷物を受け取り、持ち帰る
 
 
 
 
imgp3817
おお〜、ついに来た私のニューマスィーン!
 
 
王滝出発まであと48時間を切っていた
 
 
 
翌日の早朝、出勤前のミヤモッチ氏にお願いして
フロントフォークのコラムカットをしてもらい、
その夜に各部の調整やタイヤ交換などを行ったが、
まだ一部部品が足りない。
 
出発は明日だ。 
 
初めて乗るバイクで未知の王滝に挑む。
 
 
不安でたまらなくなった。
 
 
サイコン(スピードメーター)は新しいものを
つけていたが、アンカーに付けていた安くて
機能が少ないが見慣れたものに付け替えた。
 
 
俺って小心者だなぁ
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
翌日、ケーブル類を調達し、仕事を終えて帰宅。
自転車が組み上がり、すべての準備が終わったのが
王滝出発の1時間半前だった(爆)
 
 
 
他の参加者より早くセルフディスカバリー・アドベンチャー
始めつつ、無事にニューマスィーンで王滝のスタート位置に
着くことができたのである。
 
 
 
もう、走り始める前に力尽きそうな勢いだ(爆)
 
 
 
 
その5へ続く>>
 
 
 
 

自転車

セルフディスカバリー・アドベンチャー【5】

6月 3rd, 2010

<<その4はコチラ
 
 
2010年5月30日(日曜日)午前6時00分
 
 
セルフディスカバリー・アドベンチャー in 王滝
  
 
は、トライアスロンのスタートのようにラッパの音でスタートした。
 
 
 
 
 
imgp3915
林道入口までは先導車付きのパレードラン。
 

まだまだ写真を撮る余裕がある、舗装路だし。
 
 
 
 
3km程走って先導車が外れ、林道の上りに入る
 
 
 
 
 
attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
 
 
 
こんな大集団でオフロードの上りを走るのは初めてだ。
 
自分一人では無いので、キレイな走行ラインを選ぶことはできず、
ガレていようが凸凹だろうが真っ直ぐ突っ込んでクリアする
しかない。
 
 
この上りは約7km程続く。
初めて乗るバイクでぶっつけ本番となったレース、背中には水を
約2リットル背負っていることもあり早くも腰と尻が痛くなってきた。
 
ライディングポジションが煮詰まっていないからだろう。
 
 
さらに、スタート前に折れてガムテープでくっつけた
サングラスがズレまくる…ダメだ。
 
かといってオフロードの上りの途中でサングラスをはずして
バックパックにしまう余裕はない。
 
 
前の方からスタートしたのでどんどん抜かれるが、先は長いので
気にしない。
 
 
私の作戦は「ノン・ピットストップ作戦」
 
 
途中で休憩することなく、とにかく走り続けること。
そのために、背中に2リットル、バイクのボトルに750mlの
水を積んでいるのだ。
 
 
別名「うさぎとカメ作戦」とも言う(笑)
 
 
 
序盤の長い上りをようやく上りきり、下りが始まる…
 
 
なんか上手く下れない。
 
 
目で見るよりも道のガレ方が酷い。
 
 
 
なんか自転車の乗り心地が悪い… 
 
 
と思っていたら
 
 
 
フロントサスをロックアウトしたまんまやんかー!!(笑)
 
 
解除して下ってみると、走りがかなりスムーズになった。
下りだけでなく、上り坂もリズムよく登れるようになった。
 
 
ロックアウトしっ放しだったことに気づいたのは
スタート後20km以上走ってからだった…
 
ビッグイベントで凡ミスして、気づかない俺。
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
imgp3918
道はこんな感じで、雰囲気は最高。
 

 
 
標高が上がって来ると、いよいよ御岳山が見えてくる。
 
 
標高3,067m、まだまだ頂上付近には雪が見える。
 
 
美しく神々しい山だ。
 
 
 
止まって撮影しているライダー達も沢山いたが、
できるだけタイムロスを抑えたい私は、止まらずに
先を急いだ。
 
それでも視界の隅で御岳山の姿をチラチラと観ていた。
 
 
 
想定よりかなり遅い3時間を過ぎるタイムで第一チェック
ポイントを通過。
 
休憩しているライダーを横目に見ながら、通過した。
 
 
チェックポイントを通過するとすぐにやってきた
 

attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
 
まだまだ3分の1も終わっていないのにかなり疲労を感じる。
 
 
 
7時間を目標にしていたが、このペースではとても無理だ。
 
 
 
そんなことを考えながら下り始めたその時!
 
 
ガガガガガが!
 
 

 
車体から異常な振動が!
 
 
 
一瞬、何が起こったのか?と思ったがスグに状況が把握できた。
 
 
 
リアタイヤがパンクしていた。
 
 
 
2006年9月にロードレーサーを買って以来、パンクしたのは
初めてである(笑)
 
 
 
よりによって王滝で…
 
 
いや、王滝だからこそパンクしたのか…?
 
 
「ツイてねぇなぁ…」
 
 
そんな事を考えながら、パンク修理を始めた。
 
 
 
リアホイールを外してチューブを引っぱり出しながら
ふと顔を上げると…
 
 
 
 
imgp3921
御岳山と三浦貯水池が美しい姿を見せていた。
 
 
 
 
通り過ぎるライダー達はその美しい景色を観て「おぉ!」
感嘆の声をあげていた。
 
 
 
こんな絶景ポイントでパンクするなんて、御岳山から
「もっとゆっくりして行けよ」と言われているのだと思い直し、
落ち着いてパンク修理をすることができた。
 
 
意外とおセンチ(死語)だな、俺。
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
その6につづく>>
 
 
 
 
 

自転車

セルフディスカバリー・アドベンチャー【6】

6月 3rd, 2010

<<その5はコチラ
 
 
 
imgp3919
 
パンク修理で止まったついでに背中のハイドレーションバッグに
水を補給して、パワーバーを口の中に放り込んで再スタート。
 
 
 
 
下り基調は良いのだが、尻が痛い。
 
 
ポジションがきちんと出ていないこともあるのだろうが、
リアサスが無いので路面の衝撃がダイレクトに伝わり、
サドルに座っていると衝撃が尻を直撃する。
 
 
やっぱりCUBEのフルサスで来ればよかっt… 
 
 
いやいや、そんなことはない、これでこそ
セルフディスカバリー・アドベンチャーだ!

 
 
 
しばらく下っていると前方に見えた一人のライダー
 
yowamushi
 
週刊少年チャンピオンに連載されているロードバイクマンガ
「弱虫ペダル」で主人公が所属している
 
総北高校自転車競技部
のインターハイジャージと同じものを着ているではないか。
 
 
企画もので販売されていたことは知っていたが、まさか王滝で
見かけることになろうとは…
 
 
私はそのライダーに並んで
 
「総北高校は王滝まで遠征ですか?(笑)」
 
と問いかけると、
 
「ハイ、MTBもやってます」
 
と返してくれた。
 
ノリの良い人に出会ってちょっと楽しくなった。
 
 
そのまま私はそのライダーを追い越して先行して行ったのだが…
 
 
 
実は、この総北高校ジャージを来たライダーは
 
作者の渡辺航先生ご本人だった(!)らしい…
 
 
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
忙しいであろう人気漫画の作者さんが一日潰してこんなキツいイベントに
参加されるとは、余程自転車がお好きなんだろうと感心した。
 
 
 
 
 
三浦貯水池湖畔の道は平地の気持ちよい道だったが、
尻が痛いので、重いギアでダンシング(立ち漕ぎ)しながら
走った。
 
 
 
 
平地が終わるとまたまた上り坂。
 
  
 
?v?????g
しかも3回連続!
 
 
まさに上りのジェットストリームアタック!!
 
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
尻が痛い。
 
 
立ち漕ぎしようとするとフクラハギが痛い。
 
 
どうしようもない。
 
しかし、これはSDA王滝
リタイヤしようにもスタート地点までは自力で戻らなければ
ならない。
 
 
娘の顔が思い浮かんだ。
 
 
そういえば昨日「髪切ったよー」と写メが来てたなぁ〜
 
 
金曜日から月曜日まで留守にして遊びに行くのに
小言一つ言わずに送り出してくれた妻。
 
 
2人の大事な家族のおかげで俺は心置きなく趣味を楽しむ
ことができているんだ。

 
 
好きでやってるのに、「苦しい」「痛い」とばっかり言って
ちゃいけない。
 
「楽しかったよ〜」と言いながら無事に家に帰るんだ!
 
 
 
というような、マンガやドラマみたいなことを
 
マジで考えていた自分に驚いた(笑)

 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー

 
 

とにかくペダルを回し続ける。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後も上りは続き、第二チェックポイントに到達。
 
 
 
ここでもノン・ピットストップだ。
 
 
 
 
通過して走り続けていた。
 
 
 
下りを走っていると、私よりちょっとだけペースが遅いライダーに
追い付いた。
 
速度差が少ないだけに、どこで抜こうかと考えながら走る。
 
 
ここで行こう!
 
 
と、走行ラインを変えようとしたその瞬間!
 
 
フロントタイヤがスリップ。
 
 
大きく体勢がくずれる。
 
 
ダメだ…転けた…
 
と一瞬考えた。
 
 
しかし!
 
 
まだ、この自転車は代金すら払ってないんだ!!(※)
 
転けるわけにはいかん!!!!

 
※カード決済
 
 
 
その瞬間、神が舞い降りて来た。
 
 
どこをどうやったのか解らないが、体勢を立て直して林道の端に
停止することができた。
 
 
 
 
足が震えていた…
 
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
 
まだ先は長い、無理をしないように下った。
 
 
 
 
止まるつもりはなかったが、途中で思わずカメラを取り出したくなる風景に出くわした。
 
 
 
imgp3922
写真ではこれっぽっちも伝わらないようだ(笑)
 
 
 
 
最後の第三チェックポイントを通過。
 
 
 
あとはゴールを目指すだけだ。
 
 
 
 
アスファルトの下りを50km/hで下る。
 
よぉーし、行ける!
 
 
ヒィィィヤァッホォーーーーーウ!
 
 
 
 
調子良く下っていると、「←」の看板が視界に入って来た。
 
 
 
ヘアピン気味に回り込んで、ダート路面に入った時
私の目に飛び込んで来たものは…
 
 
真っ直ぐに伸びる、ガレた激坂。
 
 
attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 

がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
ガチャガチャガチャ言わせながら急いでギアを落し、
上り始める…
 
 
が、私の脚にはガレた激坂を上る余力は残されていなかった。
 
 
ガレの少ない走行ラインをトレースすることができず、ラインを
外れて石がごろごろしているポイントに突っ込んでしまい、
思わず足を着く。
 
 
終わった…
 
 
私は自転車を降りて脇に寄り、呆然と立ち尽くしてしまった。 
 
 
 

その7に続く>>
 
 
 
 

自転車