セルフディスカバリーアドベンチャー2012 【完結編】
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「 リ タ イ ヤ 」
するか…?
だが、この大会には選手回収車など居ないので、自力でさっき通過したゴール地点まで
引き返さなければならない。
仮にここで引き返してリタイアしても5km以上は歩かなければならず、結果的には30km
走った(歩いた)ことになってしまう。
+12km頑張れば完走だ。
「まだだッ!まだ終わらんよっ!」
意を決して前に進むことにした。
フッと走り出してみる。
フクラハギに痛みが走る。
「気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい」
と呟きながら走ってみるが30秒が限界だ。
やはり…ダメか。
1時間以上上ったが25km地点の看板が全く見えて来ない。
マズいな…
そしてようやく、2つ目のピークを越えて下りが始まる。
右足を引きずり気味に、走っているか早歩きかわからないくらいのペースで
下っているとエイドステーションが現れた。
そこに居たのは今回の王滝ツアーで宿泊した宿のご主人。
大会を手伝っていらっしゃったようで、通過したランナーのチェックをされていた。
ヘロヘロでエイドに来た私を見たご主人は一言
「やっと来たね〜、うちのお客さん、みんな遅くってさー」
がはぁっ!(吐血)
コップ一杯の水(スポーツドリンクばっかりでたまに水を飲みたくなる)を飲んで、
そんな冗談(?)と「がんばって!」という激励を背中に受け
「ここって何kmくらいの地点ですか?」
と尋ねてみると
「29kmくらいかな!」
という答えが。
どうやら25km看板は見落としていたようで、思ったより進んでいたようだ。
ちょっと元気が出た勢いで走り出してみると…
おおっ!走れる!
フクラハギの痛みがほぼ消えていた。
結局原因がわからなかったのだが、もしかしたら攣っていたのだろうか…?
いずれにしても走れるようになったことで精神的にも楽になった。
とてもマラソンコースとは思えないダイナミックな風景。
MTBのコースとは違う風景を楽しみながら走り続けるが、今度は右膝内側が若干痛みだした。
ここは今年7月頃に一度痛めた場所だ。
ちょっとマズいな…
膝が痛いことを意識から切り離して走る。
三浦ダムをこの角度から観るのは初めてだ。
オフロードの下りが終わって33km地点の最終チェックポイントに到着。
4時間20分前後だったか?
5時間切りでのゴールは無理だが、5時間半くらいでゴールできそうな感じだ。
しかし、右膝は少しずつ主張が強くなってきており、あまり無理はできない。
綺麗な水の川沿いを走る舗装路、おそらくもうオフロードの上りは無いだろう。
あとはこの右膝を炸裂させることなくゴールまで走るだけだ。
35km地点を通過。
あと7km。
「 完 走 」
の二文字がかなり鮮明に見えてきた。
右膝は相変わらず痛むものの、酷くなることもなかったのでなんとか走り続けられそうだ。
遠くにゴール地点でのMCの声が聴こえる。
オレは戻って来た。
MTBで100kmを、そして翌日に山岳フルマラソンを完走する。
前夜の私は腰は痛いし、脚は疲労しているしで
「こんなんじゃ明日のフルマラソンなんて絶対ムリ」
と終始弱音を吐いていた。完走は無理だと思っていた。
宿を出ると雨が降っていてテンションはさらにダダ下がり、
ちょっと走って無理だったらすぐ引き返すつもりだった。
しかし、そんな無理だと思っていたフルマラソンをオレは間もなく完走する。
人間というものは、意外に無理がきくようだ。
いや、無理と思っているだけでそんなに無理なことではないのかもしれない。
ストイックに自分と向き合ったセルフディスカバリーアドベンチャーの二日間が
もうすぐ終わろうとしている…
結局、男とは孤独な戦いを続けなければならないのだ。
ゴール地点手前で小川に脚を浸けて休んでいたランナー達が声をかけてくれた
「ラストっ!がんばれっ!」
ありがとう。
ゴール地点に入り、ゲートをくぐる。
MTB100kmと42kmの山岳マラソンを完走。
2日間、142km、13時間に及んだ孤独な男のストイックな戦いは
ついにグランドフィナーレを迎えた。
5時間19分12秒…
40km地点で追い越しざまに話かけて仲良くなっちゃった
女の子(20代)と一緒にニッコニコでゴール!
トレランって女性の参加者が多いんですよねー
いやー楽しかった。
うわなにをするきさまらー!
終わり。
※彼女は関西から一人でクルマを運転して前日に王滝入りし、42km完走して
クルマ運転して帰ると言っていた…。