新春!ウキウキバスツアー2010・・・後編 〜左足の恩返し〜
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30km地点のエイドステーション。
残り12.195km。
残り一万二千百九十五メートル
歩かずに走り続ければ1時間ちょっとか…
ここには昨年も利用した仮設トイレがあるので、
とりあえずここで小用を足す。
当然ながら用を足す時はじっとしていなければ
ならない。
仮設トイレから出る時…
はうぁぁ!
右膝に激痛が走った。
がはぁっ!(吐血)
慎重かつ入念にストレッチを試みるも、状況は変わらず。
とりあえず、水分補給とKファミリーからもらった
タブレットを口の中に放り込み、30km地点からスタートした。
「よしっ、あと12km!」と自分に気合いを入れて走り出したいのは
山々だが、そうはいかなかった。
右膝が痛くて走り出せない。
「もうゴメンだ、ここで回収バスを待とうぜ」
と主張する右膝。
私はゆっくりと歩きながら、右膝に語りかけた
「ねぇねぇ、もう残り1/3よ。ここで回収バスに乗ってしまっても
やっぱりリタイヤになって、また来年挑戦しないといけなくなるよ
もうチョットだけ!オ・ネ・ガ・イ」
ダメだ…15km地点からなだめて騙して(笑)きた右膝は
そろそろ限界のようだ。
半分諦めながらゴール地点に向って歩いて進む。
300mほど歩いたところで、膝の痛みがなんとなく軽くなってきた
ような気がした。
ちょっと歩くペースを早めてみる。
350m… 問題ない
400m… これはもしや…?
いや、やっぱり無理か?
と無言の右膝のご機嫌を伺っていたその時。
「5時間ペースアドバイザー」
というゼッケンをつけたランナーが私を追い越して行った。
ま、マズい!
今回の目標は5時間切り。
あのペースアドバイザーに付いて行けなければ、
目標達成は無理だ。
私は反射的に駆け出した。
あっ!
まだ、走れる。
「なぁんだ〜右膝くぅ〜ん、まだ大丈夫じゃぁ〜ん」
とブツブツ言いながら(爆)、ゴールに向って再び
走り始めた。
しかし、ペースが遅いのか5時間のペースアドバイザーは
徐々に遠ざかって行く。
5時間切りは無理か…
登り坂になり、多くのランナーは歩いて登っている。
アタックチャぁーンス!
がは…
いや、この程度は坂ではない!
サイクリストたるもの、この程度の上り坂で歩くことは許されない。
歩くこと=自転車を降りて押す
ことなのだ。
一番軽いギアで淡々と上る激坂をイメージして、小さい歩幅で上る。
坂を登り切った、かなりのランナーを抜いた…が。
下り坂でかなり抜き返された。
私は下り坂が遅かった。
膝への負担をできるだけ抑えるために下り坂は控えめに
下るようにしていたのである。
その時、ふと気づいた。
今まで右膝に気を取られていて存在すら忘れていた左足。
山川港へ下る急な下り坂で右膝をかばうように、左足が
メインとなって走っていた。
左膝は痛むどころか絶好調。
昨年は20km地点で左膝が痛みだした。
その後、軽度の半月板損傷で痛みが気になるなら手術が必要。
と宣告された私の左膝。
手術もなんもしてないのに…奇跡の大復活?(笑)
「まだまだ行ける!」
昨年負担をかけた右足への恩返しをしたいと言わんばかりに
力強く大地を蹴る。
山川港に降りてきて、地元の方が出して下さっている私設エイドで
男性が声を張り上げる。
「35km地点でーす!」
よし、あと7.195kmだ!
海沿いの道を淡々と走り続ける。
15分程走り、感覚的にはそろそろ37kmくらいかな
と思っていると看板が見えてきた
「35km地点」
がはぁっ!(吐血)
ランナーを元気づけるために言ってくださっているのだろうが、
コレはキツい。
どうせなら残りの距離は多めに言って頂きたい(笑)
相変わらず左足は絶好調。
右膝は必要以上にかばってゆるゆる走るよりも、
通常のペースを維持して走っていると痛まないということが
わかった。
どうなってんだ、俺の足?(笑)
5時間のペースアドバイザーは200m程先を走っている…
追い付けるか?
山川港からの海沿い道路の終盤に現れる最後の登り坂。
最後のアタックチャぁーンス!
ここも歩くことなくクリア。
コスモス薬局の交差点を曲がって指宿温泉街へ。
去年は14時過ぎて交通規制が解除になり、狭い
歩道を走り…いや、歩かなくてはならなかったが
今年はまだ車道を走ることができる。
しかし、ペースアドバイザーは見えない。
だが、とにかく今はゴールを目指すしかない。
温泉街に入るといよいよ終盤。
沿道の歓声が再び多くなって来る。
声援を貰うたびに身体の中になんらかの物質が分泌されているのは
やはり間違いない。
これまた菜の花マラソンの名物、
ZARDの「負けないで」
を生演奏で歌ってくれている人達…
このシチュエーションで聴くと結構泣けて来る(笑)
すると、その時!
50m先に5時間のペースアドバイザーが現れた!
明らかにペースが遅いので、ゴール前の時間調整に入っているようだ。
こっ、これは!イケルかも?
その時、並走していた40才代後半?くらいの女性と目が合った。
私は言った
「5時間切り、行きますかぁ!?」
「行きましょう!」
同じタイミングで左右に広がってペースアドバイザーを追い越した。
お互い無言ではあるが、同じペースで前後しながら
前を走るランナーを追い越す。
沿道の男性が私に声をかけた
「5時間切り、いけますよ!」
「うぃっす!」
「残り2km」の看板を通過した。
手元の時計は4時間37分を刻んでいる。
7分/kmで走っても間に合う。
イケる。
残り1km。
先ほどから並走している女性と一言二言会話した。
菜の花は10回くらい走っていて、ベストは4時間10分(!)
身体を壊してしまって2年くらいのブランクを経て去年から
再チャレンジしているという。
17,000人がそれぞれ色々な想いを載せて走る42.195km。
競技場が見えて来た。
私の時計はまだ4時間48分。
4時間50分切れるか?
私はその女性に言った
「スパートします」
女性は答えた
「行けぇ、最後、がんばれ!」
その言葉に背中を押されて、私は最後のスパートをかけた。
去年はマナー知らずのク●ジジぃを抜くためにスパートしたが、
今年は自分のタイム、順位のためだけに走る。
膝の痛みもへったくれもない。
競技場のトラックに入る。
ランナーの帰りを待っている人達や、地元の子供たちが叩く太鼓の
鼓動が耳に入り、体内になんらかの物質が分泌されるのを感じる。
「声援が力になりました!」
とか言うコメントは良く聞くが、どうやらアレは本当らしい。
「FINISH」と書かれたゴールゲートが近づいて来た。
42.190km地点。
ちょっとだけ「このままゴールするのは惜しい」と思った。
フィニッシュゲートをくぐった。
ボランティアのお姉さんにゴールチェックのセンサーを当ててもらい、
私の菜の花マラソン2010は終了。
完走の証である黄色いタオルと水を一杯いただき、完走証を発行して
くれるテントに並ぶ。
公式リザルトは
公式記録:4時間52分42秒。
総合順位:3,725位(17,197人)
部門順位:779位(3,452人**30歳代)
昨年のリベンジを果たすことができた。
昨年とは違った達成感と充実感を感じつつ浸かる指宿シーサイドホテルさんの
温泉は格別だった。
もちろん、なだめて騙し続けられて42.195kmを走り切った右膝は
曲げると痛いし、右足に恩返しした左足は太腿ぐるっと一周筋肉痛(笑)
帰りの桜島サービスエリアでは、もちろん
ロボコップ(笑)
桜島SAではBGMでロボコップのテーマが流れていた (ウソ)
ウキウキバスツアーのためにマイクロバスを往復運転してくれたす〜さん。
彼女は我々がフルマラソンを走っている間は暇なので、
10kmコースをカルーくこなして57分で部門別15位という好成績。
うーん、すげぇ(笑)
最後まで慎重で安心感のあるドライビングでした、
ありがとうございました。
そして、菜の花マラソン実行委員会の皆様、地元警察の皆様、自主的に
エイドや声援で我々をサポートして下さった地元の皆様、おかげさまですばらしい
大会を満喫することができました、ありがとうざいました。
私もこれで心おきなく自転車に専念することができる。
と思っていたが…
フルマラソンの世界には「サブ●●」という用語がある。
これは●時間以内で走れる人というカテゴリー分けみたいな
もので、2時間台で走る人を「サブスリー」、3時間台で
走る人を「サブフォー」と言う。
私は今回、5時間を切ったので「サブファイブ」なのだが…
なんか響きがイマイチだ(爆)
どうせなら「あの人サブフォーばい」と呼ばれたい(煩悩)
朝食時に再会した高校時代の友人Kは初フルマラソンにして4時間一桁分だし、
昨年5時間台で一緒にロボコップになっていたS松さんはサブフォーを達成
していた…
というわけで…
今年もっと練習して
来年はサブフォー達成じゃぁ!!
サブフォーを達成すればきっと私も…
「継続は力なり」
とか
「努力は裏切らない」
という2つの言葉は、私が大嫌いな言葉の代表なのだが(爆)
どうやら間違っていないらしいことを認めざるを得なかった
2010年1月10日だった。
今年もネタ満載の良い年になりそうだ。
おしまい。