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セルフディスカバリー・アドベンチャー【5】

6月 3rd, 2010

<<その4はコチラ
 
 
2010年5月30日(日曜日)午前6時00分
 
 
セルフディスカバリー・アドベンチャー in 王滝
  
 
は、トライアスロンのスタートのようにラッパの音でスタートした。
 
 
 
 
 
imgp3915
林道入口までは先導車付きのパレードラン。
 

まだまだ写真を撮る余裕がある、舗装路だし。
 
 
 
 
3km程走って先導車が外れ、林道の上りに入る
 
 
 
 
 
attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
 
 
 
こんな大集団でオフロードの上りを走るのは初めてだ。
 
自分一人では無いので、キレイな走行ラインを選ぶことはできず、
ガレていようが凸凹だろうが真っ直ぐ突っ込んでクリアする
しかない。
 
 
この上りは約7km程続く。
初めて乗るバイクでぶっつけ本番となったレース、背中には水を
約2リットル背負っていることもあり早くも腰と尻が痛くなってきた。
 
ライディングポジションが煮詰まっていないからだろう。
 
 
さらに、スタート前に折れてガムテープでくっつけた
サングラスがズレまくる…ダメだ。
 
かといってオフロードの上りの途中でサングラスをはずして
バックパックにしまう余裕はない。
 
 
前の方からスタートしたのでどんどん抜かれるが、先は長いので
気にしない。
 
 
私の作戦は「ノン・ピットストップ作戦」
 
 
途中で休憩することなく、とにかく走り続けること。
そのために、背中に2リットル、バイクのボトルに750mlの
水を積んでいるのだ。
 
 
別名「うさぎとカメ作戦」とも言う(笑)
 
 
 
序盤の長い上りをようやく上りきり、下りが始まる…
 
 
なんか上手く下れない。
 
 
目で見るよりも道のガレ方が酷い。
 
 
 
なんか自転車の乗り心地が悪い… 
 
 
と思っていたら
 
 
 
フロントサスをロックアウトしたまんまやんかー!!(笑)
 
 
解除して下ってみると、走りがかなりスムーズになった。
下りだけでなく、上り坂もリズムよく登れるようになった。
 
 
ロックアウトしっ放しだったことに気づいたのは
スタート後20km以上走ってからだった…
 
ビッグイベントで凡ミスして、気づかない俺。
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
imgp3918
道はこんな感じで、雰囲気は最高。
 

 
 
標高が上がって来ると、いよいよ御岳山が見えてくる。
 
 
標高3,067m、まだまだ頂上付近には雪が見える。
 
 
美しく神々しい山だ。
 
 
 
止まって撮影しているライダー達も沢山いたが、
できるだけタイムロスを抑えたい私は、止まらずに
先を急いだ。
 
それでも視界の隅で御岳山の姿をチラチラと観ていた。
 
 
 
想定よりかなり遅い3時間を過ぎるタイムで第一チェック
ポイントを通過。
 
休憩しているライダーを横目に見ながら、通過した。
 
 
チェックポイントを通過するとすぐにやってきた
 

attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
 
まだまだ3分の1も終わっていないのにかなり疲労を感じる。
 
 
 
7時間を目標にしていたが、このペースではとても無理だ。
 
 
 
そんなことを考えながら下り始めたその時!
 
 
ガガガガガが!
 
 

 
車体から異常な振動が!
 
 
 
一瞬、何が起こったのか?と思ったがスグに状況が把握できた。
 
 
 
リアタイヤがパンクしていた。
 
 
 
2006年9月にロードレーサーを買って以来、パンクしたのは
初めてである(笑)
 
 
 
よりによって王滝で…
 
 
いや、王滝だからこそパンクしたのか…?
 
 
「ツイてねぇなぁ…」
 
 
そんな事を考えながら、パンク修理を始めた。
 
 
 
リアホイールを外してチューブを引っぱり出しながら
ふと顔を上げると…
 
 
 
 
imgp3921
御岳山と三浦貯水池が美しい姿を見せていた。
 
 
 
 
通り過ぎるライダー達はその美しい景色を観て「おぉ!」
感嘆の声をあげていた。
 
 
 
こんな絶景ポイントでパンクするなんて、御岳山から
「もっとゆっくりして行けよ」と言われているのだと思い直し、
落ち着いてパンク修理をすることができた。
 
 
意外とおセンチ(死語)だな、俺。
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
その6につづく>>
 
 
 
 
 

自転車

セルフディスカバリー・アドベンチャー【6】

6月 3rd, 2010

<<その5はコチラ
 
 
 
imgp3919
 
パンク修理で止まったついでに背中のハイドレーションバッグに
水を補給して、パワーバーを口の中に放り込んで再スタート。
 
 
 
 
下り基調は良いのだが、尻が痛い。
 
 
ポジションがきちんと出ていないこともあるのだろうが、
リアサスが無いので路面の衝撃がダイレクトに伝わり、
サドルに座っていると衝撃が尻を直撃する。
 
 
やっぱりCUBEのフルサスで来ればよかっt… 
 
 
いやいや、そんなことはない、これでこそ
セルフディスカバリー・アドベンチャーだ!

 
 
 
しばらく下っていると前方に見えた一人のライダー
 
yowamushi
 
週刊少年チャンピオンに連載されているロードバイクマンガ
「弱虫ペダル」で主人公が所属している
 
総北高校自転車競技部
のインターハイジャージと同じものを着ているではないか。
 
 
企画もので販売されていたことは知っていたが、まさか王滝で
見かけることになろうとは…
 
 
私はそのライダーに並んで
 
「総北高校は王滝まで遠征ですか?(笑)」
 
と問いかけると、
 
「ハイ、MTBもやってます」
 
と返してくれた。
 
ノリの良い人に出会ってちょっと楽しくなった。
 
 
そのまま私はそのライダーを追い越して先行して行ったのだが…
 
 
 
実は、この総北高校ジャージを来たライダーは
 
作者の渡辺航先生ご本人だった(!)らしい…
 
 
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
忙しいであろう人気漫画の作者さんが一日潰してこんなキツいイベントに
参加されるとは、余程自転車がお好きなんだろうと感心した。
 
 
 
 
 
三浦貯水池湖畔の道は平地の気持ちよい道だったが、
尻が痛いので、重いギアでダンシング(立ち漕ぎ)しながら
走った。
 
 
 
 
平地が終わるとまたまた上り坂。
 
  
 
?v?????g
しかも3回連続!
 
 
まさに上りのジェットストリームアタック!!
 
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
 
尻が痛い。
 
 
立ち漕ぎしようとするとフクラハギが痛い。
 
 
どうしようもない。
 
しかし、これはSDA王滝
リタイヤしようにもスタート地点までは自力で戻らなければ
ならない。
 
 
娘の顔が思い浮かんだ。
 
 
そういえば昨日「髪切ったよー」と写メが来てたなぁ〜
 
 
金曜日から月曜日まで留守にして遊びに行くのに
小言一つ言わずに送り出してくれた妻。
 
 
2人の大事な家族のおかげで俺は心置きなく趣味を楽しむ
ことができているんだ。

 
 
好きでやってるのに、「苦しい」「痛い」とばっかり言って
ちゃいけない。
 
「楽しかったよ〜」と言いながら無事に家に帰るんだ!
 
 
 
というような、マンガやドラマみたいなことを
 
マジで考えていた自分に驚いた(笑)

 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー

 
 

とにかくペダルを回し続ける。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後も上りは続き、第二チェックポイントに到達。
 
 
 
ここでもノン・ピットストップだ。
 
 
 
 
通過して走り続けていた。
 
 
 
下りを走っていると、私よりちょっとだけペースが遅いライダーに
追い付いた。
 
速度差が少ないだけに、どこで抜こうかと考えながら走る。
 
 
ここで行こう!
 
 
と、走行ラインを変えようとしたその瞬間!
 
 
フロントタイヤがスリップ。
 
 
大きく体勢がくずれる。
 
 
ダメだ…転けた…
 
と一瞬考えた。
 
 
しかし!
 
 
まだ、この自転車は代金すら払ってないんだ!!(※)
 
転けるわけにはいかん!!!!

 
※カード決済
 
 
 
その瞬間、神が舞い降りて来た。
 
 
どこをどうやったのか解らないが、体勢を立て直して林道の端に
停止することができた。
 
 
 
 
足が震えていた…
 
 
 
まさに、セルフディスカバリー・アドベンチャー
 
 
 
 
 
まだ先は長い、無理をしないように下った。
 
 
 
 
止まるつもりはなかったが、途中で思わずカメラを取り出したくなる風景に出くわした。
 
 
 
imgp3922
写真ではこれっぽっちも伝わらないようだ(笑)
 
 
 
 
最後の第三チェックポイントを通過。
 
 
 
あとはゴールを目指すだけだ。
 
 
 
 
アスファルトの下りを50km/hで下る。
 
よぉーし、行ける!
 
 
ヒィィィヤァッホォーーーーーウ!
 
 
 
 
調子良く下っていると、「←」の看板が視界に入って来た。
 
 
 
ヘアピン気味に回り込んで、ダート路面に入った時
私の目に飛び込んで来たものは…
 
 
真っ直ぐに伸びる、ガレた激坂。
 
 
attack3.jpg
アタックチャぁーンス!
 
 

がはぁっ!(吐血)
 
 
 
 
ガチャガチャガチャ言わせながら急いでギアを落し、
上り始める…
 
 
が、私の脚にはガレた激坂を上る余力は残されていなかった。
 
 
ガレの少ない走行ラインをトレースすることができず、ラインを
外れて石がごろごろしているポイントに突っ込んでしまい、
思わず足を着く。
 
 
終わった…
 
 
私は自転車を降りて脇に寄り、呆然と立ち尽くしてしまった。 
 
 
 

その7に続く>>
 
 
 
 

自転車

セルフディスカバリー・アドベンチャー【7】

6月 3rd, 2010

<<その6はコチラ
 
 
ガレた激坂の脇で佇む…
 

ボトルの水を飲む。
 
 
この場面で、もうこんな坂は登れない。
 
 
こんな後半でこんな激坂があるなんて…
 
 
 
九州でも内大臣林道などを数回走っていたし、なによりSDAは
全国規模のメジャーな大会なんでそんなアホみたいにハードじゃ
ないだろう…

 
とタカを括っていた私。
 
 
 
 
h1
王滝に関して考えが浅かったと言われればその通りかもしれない
 
 
 
周囲を見回す、
 
自転車を押して登っている人が結構いる。
 
 
あ、そうだ、押し歩いても進めばいいんだ。
 
 
登り坂で自転車を押し歩くなんてできない!という変なプライドを
かなぐり捨てて、歩き始めた。
 
 
あ、歩く筋肉はまだ残っている。
 
 
ゆっくりとペダルを回すキャノンデールに乗るライダーと私が
押し歩くスピードは変わらない。
 
トレランよろしく走ってみようかとも思ったが、転けては元も子も
ないのでやめた(笑)
 
 
勾配が緩くなったところで、再び自転車にまたがってペダルを回し
始める。
 
 
しかし、上り坂は続く。
 
 
目線は前輪50cmくらい先に落ちている、とにかく上りをやり過ごす
しかない。
 
 
このレース中に何度も経験した、標高が高くなってくるにつれて
空気がひんやりと乾いてくる感覚を覚えた時、残りの距離が僅か
だということを確信した。
 
緩い下りと緩い上りが交互に現れ始める。
 
 
あのコーナーを曲がれば…
 
いや、まだだ。

 
 
あのコーナー?
 
いや、まだ。
 
 
今度こそ!
 
いや、まだ緩い上りが…

 
 
 
10030719
一体いつまで続くんだ!?
 
 
 
 
 
ウンザリしていると、ついに本格的な下りが始まった。
 
これが最後のゴールへ向っての下りだ。
 
もちろん、ダートで結構荒れている。
 

気を抜けば最後の最後に吹っ飛んでしまう。
 
 
路面に集中し、慎重に下る。
 
 
後ろに一台着いている。
 
なんとか逃げなければ…
 
 
右ヘアピンでチラっと影が見える…
 
 
無理して転けたらシャレにならないが、最後に抜かれる
のもイヤだ(笑)
 
 
尖っている石を避けるように走行ラインを選び、集中して下る。
 
 
後ろのライダーは私を抜く機会を伺っているようにも感じる。
 
直線を思い切り飛ばす。
 
 
「段差注意」
 
 
の看板が見える。
 
そういえば昨日の競技説明会で注意があっていたなぁ…
 
 
と思ったが、減速が間に合わないのでそのまま突撃。
 
なんとかなった(笑)
 
 
まだ終わらないのか、この下りは?
 
 
 
もうすぐゴールのはz…
 
 
 
 
と思った瞬間ゴールのゲートが現れた。
 
 
 
私は意味不明の雄叫びを上げて、最後のダンシングでゴールゲートを
くぐった。
 
 
8時間13分59秒。 238位
 
 
私のSDA王滝は幕を下ろした。
 
 
654人のエントリーに対し、完走者は466人だった。
 
 
 
 
先に戻って来ていたDaijyaman kk氏とムラキに8時間ぶりに再会し、
健闘を讃え合った。
 
 
 
走り終わった後は、豚汁サービスである。
 
 
 
 
imgp3937
地元のおばちゃんと(笑)
 
 
補給食ばっかりしか食べてなかったので、五臓六腑に染みわたる美味さだった。
 
 
 
あ、そういえば、この王滝のために1ヶ月前からセルフディスカバリー・アドベンチャー
しながら手に入れた、私のピッカピカな新車を紹介していなかったので紹介しよう。
 
 
 
imgp3927
Wilier Solitario
 
ロードバイクでは超有名なイタリアンブランド「ウィリエール」
密かに(笑)リリースしているカーボンフレームのMTB。
もちろん、日本未導入(爆)
 
 
 

imgp3928
ロードバイクで培った技術の粋を集めて… って汚ねぇ!
 
パリ〜ルーベでも走って来たのか?って言われそうだ(謎)
 
 
 
 
imgp3931
コンポはSHIMANOのXT… って汚ねぇって!
 
 
 
 
imgp3932
カーボンモノコックのフレームはシートチューブとトップチューブの
接合部も非常に滑らかで… って汚ねぇぇぇ!
 
 
日本に着いて4日目にしてこの有様。
 
 
シェイクダウンが王滝100kmなんて、そうあるもんじゃぁない。
 
 
ネタのためとはいえ、大変である。
 
 
あ、そういえばDaijyaman kk氏の愛車
 
 
imgp3844
Bianchi PULSE9100も王滝がシェイクダウンだった(笑)
※これは「使用前」
 
 
 
ビアンキやウィリエールといったロードで有名なブランドのMTBを
買うと、
 
「なんでまたわざわざビアンキのMTBを買うの?」
とか
「ウィリエールにMTBやらあったと?」
 
 
と言われるのだが…
 
 
 
まさに、狙い通り!(爆)
 
 
 
 
 
というわけで、表彰式。
 
 
 
もちろん筆者は関係ないのだが…
 
 
 
完結編へつづく>>
 
 
 

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