最悪にして最高の一日【その2】

12月 12th, 2016
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<<【その1】はコチラ

九州Heaven Ride2016がスタートした。
 
ヘルメットに「パラパラ」と音がする程の雨粒が落ちて来るコンディション、スタートしてすぐ角を曲がって100mほど下ったところで大会スタッフが立っているのが見えた。
 
道の真ん中に立って両手を広げている。
 
 
「あぁ、もう悪天候のため中止かな?」
 
と思って軽くブレーキをかけたら…
 
 
スタッフ「コチラでーす!!」
 
左の脇道に誘導された。
 
 
さっそくのグラベル(未舗装路)…
 
 
ロードバイクでグラベルなんて走ったことねぇよ
 
と思いつつも、久しぶりのグラベルにちょっとワクワクしながらペダルを回す…
 
のも束の間、MTBみたいにサスペンションなんてないし、ハンドル幅の狭いロードバイクでグラベルを走るのはなかなかキツい…
 
  
石はごろごろ、折からの雨でアチコチに水たまり…

chanoko01
↑序盤のグラベル(photo by CHANOKO)

昔の宮原線という鉄道の線路跡のようだ。
 
相当長い時間グラベルを走って、ようやく舗装路に出た。
 
 
「よし、まずは最初の難関をクリアだ!」 
 
 
私はサイクルコンピューターの距離計を見た。
 
 
「4km」
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
あれだけ走って…まだ4km??
 
 
残り126km…
 
 
「もう帰りたい…」
 
 
という言葉を飲み込みアスファルトのロードを走り出す。
 
ヘヴィウェット路面ながら、グラベルを走った後だけに「極上の乗り心地」だった
 
 
小国町中心部から212号線にて大観峰方面へ。
いつもはクルマとかバイクで大観峰に向かってビューンと走っていく道。
 
 
雨足が強くなって来た。
 
満願寺温泉方面へ左折した頃にはまたもや「ザーっ!」と降り出した。
頭から流れ落ちてくる雨水が目に入ってくる程の雨。
 
「もう帰りたい…」
 
 
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軽トラ1台通るかな?という大きさのトンネル。
Heaven Rideにライトは必須だ。(photo by CHANOKO)
 
程なく走るとKOM区間に到着。
 
KOMとはKing of Mountainのことで、決められた区間の登りでタイムを競うというもの。
タイム計測は各々が持つGPS機器を使って行う。
 
当然ながら私には関係ない(笑)
 
 
しかしながら坂は登らなければならない…
 
 
 
attack34
アタックチャぁ〜ンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
な…なんじゃこりゃ…?
 
 
コンクリート…時々グラベル…
 
 
KOMを獲りに行く人たちがぐいぐい坂を登っていく。
 
私は早々とインナーロー(一番軽いギア)に入れて登る。
 
 
参加者たちが止まっているのが見える。
 
ここがKOMのゴール地点(頂上)か…
 
 
するとそのうちの一人が言った
 
 
「まだあと4kmくらい登るらしいよ〜」
 
 
まだまだ続く
 
 
attack34
アタックチャぁ〜ンス!
 
 
がはぁっ!(吐血)
 

グラベルの激坂…もう乗車じゃ登れない・・・

 
降りて自転車を押す。
 
コースクリエイターのミヤモッチ氏はスタート前に言った
 
「99%乗車で行けますからロード用のペダルでも大丈夫ですよ」
 
 
彼とはもう10年近い付き合いだ…私は心の中で呟いた。
 
 
 
よし、MTB用のペダルに換えとこう
 
 
シューズをMTB用の歩きやすいものに換えてきておいて正解だった。
 
 
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(photo by YOSUKE)

ヘロヘロになりつつ頂上にたどり着いた筆者。
 
 
「もう帰りたい」
 
 
KOMの頂上へ着いたので、次は下りだ。
ペダルを回す必要はない。
 
 
しかし…
 

その下り坂が…
 
 
すごい激坂。
 
 
しかも枯葉とか落ちてて超スリッパリー・・・
 
 
chanoko03
photo by CHANOKO

ロードバイクのリムブレーキはディスクに比べて制動力が劣るため、握力が要る。
しかも雨という条件も重なり、ブレーキレバーの操作はかなり慎重になる必要があったため、下り坂なのに下ハンドルを持って腰を引き気味にして下る。
 
下りなのにキツい…
 
 
なにより悪天候によりブレーキをかけるとホイールのリムから「ガーーーーーっ!」という絶望的な摩擦音が聞こえてきて精神衛生上もよくない…
 
 
苦行でしかない…
 
 
史上最高に楽しくない下り…
 
 
 
【その3】に続く>>
 
 
 

自転車ネタ

最悪にして最高の一日【その1】

12月 12th, 2016
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2016年12月4日(日)
「九州 Heaven Ride 2016」
に参加した。
 
最大5名でチームを組み、与えられた地図をもとにロードバイク(自転車ね)で小国〜阿蘇エリアに設けられたチェックポイントを回って戻って来るというイベント。
 
このイベントの特徴は「招待制」であることと、ロードバイクだけど走る場所は「必ずしもオンロードではない」ということ。

10月下旬に土橋塾長から「Heaven Rideに出ないか?」とお誘いを受けた。
 
どうやら土橋塾にも招待が来たらしい。
 
私は熟考の末、期待に応えなければならんと思い出場の意志を表明した。
 
 
土橋塾長は言った
 
 
「わかった…じゃぁ、冬用のジャージ発注するからサイズ決めてネ!」
 
 
がはぁっ!(吐血)
 
 
まっ…まさか、冬用ジャージの最低発注枚数を確保するために誘われたの?俺? 
 
 
土曜日夕方会社のスタッフに「ちょっと商談に行って来る…」と言い残し、ロードバイクを積んだジムニーで小国町へ…
 
 
なかなかのテンションで展開される前夜祭を楽しみ、ビールとかワインとか飲みつつ…
 
スマートフォンで「雨」予報を確認して「雨降ったら自転車降さんで温泉だけ入って帰ろう」と秘かに思っており、
土橋塾長と「早朝コッソリ置き手紙置いて姿を消そう」と打ち合わせていた。
  
皆が寝静まった頃を見計らい、イベント連絡用のSNSに下記の画像をアップし、印刷した置き手紙を準備して就寝した。
 
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あけて翌日。
 
 
寝坊した…普通にAM6時とかに起きてしまった…
 
 
がはぁっ!(吐血)

 
しかも曇りで「もしかしてなんとか持ってくれるかな?」というレベルのお天気だったためか、他の参加者達は普通に出走準備を始めており、私もつられて自転車降ろして着替えを始める…

スタート前のブリーフィングが始まる頃を見計らったかのように「ザーっ!」と雨が降り出した。

がはぁっ!(吐血)
 
もうホントに「ザーッ!」と降っている。

部屋の中から外を見ると白い線が幾筋も見える程に降っている。
 
もう帰ろう… 
 
完全に上の空でブリーフィングを聞き、いよいよスタート時刻に…

雨が降ったら自転車なんか乗らないので自転車用レインウェアなんて持っていない。
とりあえずウインドブレーカー着てみたものの、すぐに水が染みてくる…だめだこりゃ。

仕方なく着膨れ覚悟でアウトドア用のmontbell製合羽を出してジャージの上に着て、フードがバタつかないようその上からウインドブレーカーを着用。
 
01
(photo by CHANOKO)
せっかく新調した冬用ジャージがまったく見えないという残念な出で立ちでスタートラインに並んだ。
※筆者は向かって右
 
 
聞くところによると、エントリーしていた19チームすべて出走らしい…
 
 
しかもなんか皆ニコニコしとるし…
 
 
意味分からん…
 
 
AM8時45分、土橋塾チームスタート。
 
 
 
 
 
【その2】へ続く>>
 
 

自転車

俺の夏2013 完結編

8月 9th, 2013
俺の夏2013 完結編 はコメントを受け付けていません

<<その6はこちら
 
残りゴーテンハチキロ??
 
 
さっき「残り6km」と言われてから50分以上経っているのに
200mしか進んでいないのか…?(笑)
 
 
時計をみると9時間30分を過ぎている。
 
 
もう無理だ…
 
 
10時間切りの目標は、無惨に砕け散ってしまった。
 
あの男性スタッフが言ったのはショートコースの残り距離だったらしい。
 
 
 
10時間切りが夢となり、一気に力が抜けようとするものの
ここからは霧島の池の周りを走るトレッキングコースで、ハイカーさんが多くなり
私の姿を見るなり「がんばってくださーい!」と声援をもらう。
 
 
しばらく進むと今度は
 
 
ビデオカメラを構えたムービー撮影部隊が!
 
 
この場所だと皆疲れて歩いているハズだから、
 
 
ここは走っておかないと!
 
 
ということで、残り少ないパワーを使ってカメラの前だけ走る!
 
 
しかし、走っているつもりでウデは振るが、脚が上がっていない(笑)
 
 
そんな感じでカメラの前だけ一生懸命走ることを3回程繰り返し(爆)、
池の周りのトレイルへ。
 
 
ここで前方にポニーテール発見!
 
 
kyoto24
補助パワー始動!
 
 
U子ちゃんに追い付くものの、何か様子がおかしい。
 
 
聞けば「足にマメができて痛い」と…
 
 
上りで歩く時は、ハリーキャラハンに太腿を刺されたサソリのように
ちょっと足を引きずるように歩いているが、それでも平地や下りは
一生懸命走っている。
 
 
 
その姿を見て私は思った
 
 
 
「俺は人事を尽くしているのか?」
 
 
 
ここまでの行程を振り返ると、
 
下りでヘバっているたびにU子ちゃんのポニーテールで補助パワー始動。
 
細かいアップダウンを繰り返す区間でGさんとK子さんに引いてもらいペースを維持。
 
 
結局、
 
 
俺はずっとチャンネーのツーケーを追いかけていただけじゃねーか!(自爆)
 
 
 
10時間切りは無理だったが、俺はまだ人事を尽くしてはいない。
 
 
 
kirishima32
また階段か…
 
脚は上がらないがまだ上れる。
 
 
階段トレーニングの成果があるのだろう。
 
 
左手に六観音御池の澄んだ水面を見ながら走る。
 
 
ゴールまであとわずかだ、後悔しないようにすべてを出し切ろう。
 
 
疲れたなんてものではない、気力で走っているようなものだ。
 
 
だが、ゴールは確実に近づいている!
 
 
よーし、このまま行くぜ!
 
 
 
 
 
 
 
スタッフが二人現れた。
 
 
 
「コチラでーす!」
 
 
と元気よく右手に誘導される
 
 
そこには
 
 
「白鳥山登山口」
 
 
の看板が…
 
 
そう、これは最後の最後にやってくる
 
 
longcourse2
コース最高地点への上り…いや、登りだ。
 
 
 
 
参りましょう、慎重かつ大胆に。
 
 
 

 
 
 
attack2.jpg
アタック・・・・
 
 
attack3.jpg
チャぁーンス!
 
 
がはぁっ(吐血)
 
 
な…なんじゃこの急勾配は!?
 
 
 
dyson1
も…もう登れない…
 
 
眼前には斜面しか見えない。
 
 
 

 
 
何度も折り返しながら少しずつ登る…
 
 
 
 
ちょ…マジ、高木さんっ!!!
 
 
 
だ…だめだ…
 
 
 
この時、脳内音楽プレイヤーが自動選曲したのは ↓コレ(1分4秒)
※ボリューム大きめで! 
 

 
 
 
なーんのーたーめにー安らぎにー背を向けてー♪
 
 
あまりにもハマり過ぎて、一人でニヤついてしまった…
 
 
 
 
眺めの良い場所まで登るがまだ終わりではないらしい、
緩い登りのシングルトラックを走る。
  
 
ガレ気味の場所に出た。
 
 
どうやらこれが白鳥山の山頂らしい。
 
 
kirishima5
↑この、何もアングルを検討することなく
「ただ撮っただけ」が伺える写真から私の
疲労度と精神状態がわかる(笑)
 
 
kirishima31
結局、第二関門直後の硫黄山から池を挟んで反対側まで
来たようだ…
 
 
 
 
スタッフが居る
 
 
「もうあとは下りです!」
 
 

ここからの下りが石がゴロゴロしていてまた微妙
 
 
 
もう最後だ、できるだけ走ろう。
 
 
 
よーし、歌でも歌おうじゃないか!
 
 
 
scorpio1
こーげ、こーげ、こーげよ!
ボート漕ーげよー!
 
ランランランラン川下ーりー! 

 
 
 
だっ…ダメだ…、もう壊れてきた。
 
 
ハイカーさんとすれ違う。
 
 
「がんばれがんばれー!」
 
 
と笑顔で励ましてくれる…
 
 
ありがとうございます。
 
 
 
どれくらい走っただろうか…ついに、えびの高原荘前の公道に出た!
 
 
道を横断して歩道を走る。
 
 
 
 
メイン会場までもう数百メートル。
 
 
 
林の中を走ってついにゴールゲートが見えた。
 
 
 
俺は帰って来た。
 
 
 
芝生の広場をゲートに向って走るのは私一人。
 
 
大会のMCが、「またランナーが一人帰って来たぁ!」と盛り上げてくれ、
束の間の主役気分を味わいつつ、武藤敬司バリに「LOVEプロレス」ポーズ!
(多分誰も見てなかっただろうけど・笑)
  
 
60kmという距離を走った後だ、
 
脳内BGMは「炎のランナーのテーマ」になったりして、
万感の思いがこみ上げてきて涙なんかでてきちゃったりする
んだろうか?とか思ったが…
 
  
  
別にそんな感じではなかった(笑)
 
 
 
 
MCに名前をコールされてゲートをくぐった…
 
 
 
kirishima3
10時間42分00秒(制限時間は14時間ー19:00)
 
10時間は切れなかったけど
 
 
とても気持ちがいい。
 
 
この瞬間の、この感覚を味わうために俺はこんなキツいことをして来たんだ。
 
 
 
 
ゴール地点に居たso君の奥さんやmcfm氏の奥さんから労いの言葉をもらう。
 
 
ありがとう。
 
 
 
普段は飲まない赤いコカコーラを思い切り飲む。
 
 
美味い!
 
 
途中で引っ張ってくれたGさんとKさん、補助パワーを起動させてくれたU子ちゃん、
練習に付き合ってくれた仲間達、途中で励ましてくれたボランティアの方々や
ハイカーさん達、そしてネタに付き合ってくれた家族に感謝した。
 
 
終わった…
 
 
kirishima2
会場に立ててあった幟がふと目に入った
 
「九州爆走女」
 
なにやら物騒な名前だな…
 
 
ああ、そういえば、U子ちゃんのTシャツにはこのロゴが入っていた…
 
 
なるほど…な…
 
 
もう俺のバッテリー残量も残り僅かになってきた…
 
 
 

大会主催者であり、コースプロデューサーである高木さんを見つけた
 
 
ゴールまでの行程を思い出しながら、 
私は最後の力を振り絞って、彼に言った…
 
 
 
 
「殺す気…か…?」
 
 
 
 
 
 
俺の夏が終わった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
kirishima41
 
 
 
 
 

 
 
おまけ…
 
 
後日公開された今大会のダイジェスト版動画。
大会の雰囲気が伝わってきます。(3分56秒)
 
ちなみに私も、無駄にパワーを振り絞ってアピールした
甲斐あって1:42と2:35の2回に1秒だけ登場します(爆)
 
これを観ればあなたも来年出場したくなるハズ!
  

 
 
 
高木さんを始めとする大会関係者、自治体、県警の皆様、
ボランティアの皆様、ありがとうございました。
 
文字通り、エクストリームな大会でした。
 
 
来年は10時間切りを目指して…、いやいや、こんなキツイ大会もう出ません!(爆)
 
 
 
 
 
おしまい
 
 

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